『出会い系のシングルマザーたち』
「出会い系」で売春をしながら生活の糧を稼ぎ子供を育てるシングルマザーを取材したルポダージュです。
なかなか認識されていない世間の闇の部分にスポットをあてていて、同じ母と言えども色々な生き方を選んだ女性を知ろうと思い読んでみました。
ここに登場するシンママは皆、DVやうつや虐待など様々な事情を抱えてギリギリのところで生きています。
死別はなく全員が未婚での出産または離婚を選んだ方々ばかりです。
- 作者: 鈴木大介
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/03/01
- メディア: 単行本
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やむを得ずシンママになり貧困に陥る実例に触れ、人生の不確実さという意味で、自分も含め誰もが他人事ではないなと読みはじめは考えていました。
しかし読み進めていくうちに、貧困のシングルマザーになることと、貧困のシングルマザーだからといって売春まで堕ちてしまうことは やはり別問題だと確信しました。
理由は、本書に出てくるようなシンママは結局のところ、子供の本当の幸せにはならない"虚栄心"や"男性への依存心"を根本的に持っていて、売春以外の方法を初めから諦めていたというのがあります。
苦しみながらも女手ひとつで真っ当に働き、子供4人を大学まで出して結婚を見届け孫を抱いた女性を身近に思い出して、努力さえできればいくらでも道はありそうな気がしたからです。
そもそも私個人の価値観では、売春をするか否かに関わらず、望まない妊娠や、養育が困難だと分かりながら出産ををすること自体が責任を問われる問題だと思います。
社会生活を営む人類は、男女互いに子供をきちんと育てていける環境(経済力や婚姻関係を含め)であることを確認してから性行為に及ぶべきだと昔から考えてきました。
また人を一人育てることは世間に対しても重い責任を担っていると思います。
その点だらしない考え方をしているシンママが最終的に売春に堕ちてしまった話をいくつも読んだところで、情状酌量の余地もないな‥と、呆れるような気持ちでこの本を読み終えました。
そして何より、この母親たちの子供が、親に振り回されたりネグレクトされたり…と不憫でなりません。
シンママを取り巻く偏見や公的支援、もっと言えば避妊以前の問題で、そもそも婚前交渉や婚外交渉をする世の中のだらしない貞操観念を何とかしなければ、シンママの貧困の問題も子供の問題も根本から解決されることは難しいと思います。