ブライアン・L・ワイス『前世療法』
オカルトっぽいタイトルですが、れっきとした医学の一分野であり、誠実な医療評論だそうです。
生命起源の話の繋がりで知人に薦められて読みました。
とはいえ初版はだいぶ昔(1996年)です。
精神医学博士である著者が、ある女性患者に退行療法を施す中で直面した「前世」の記憶や「精霊たち」とのやりとりから、人生の目的や科学の向かう先を悟っていった記録です。
前世療法―米国精神科医が体験した輪廻転生の神秘 (PHP文庫)
- 作者: ブライアン・L.ワイス,Brian L. Weiss,山川紘矢,山川亜希子
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 1996/09/01
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 63回
- この商品を含むブログ (37件) を見る
輪廻転生<生まれ変わり>を信じる人には大変興味深く、信じない人には眉唾な話ばかりです。
いや、信じない人には逆に新しい発見があるかもしれません。
いずれにしても目に見えることだけを信じる唯物主義の考え方を問い直し、私達の人生や存在を多面的かつ客観的に考えさせるという意味では評価できると思いました。
人は生きていく中で何を学ぶのか。
何がこの人生の目的なのか。
隣にいる人と自分の関係にはどういう意味があるのか。
今生きるこの人生は一過性のものではなく、これから向かう時間と可能性は無限なのか。
目に見えるものや触れられるものが全てではないのではないか。
キャサリンという女性患者が前世へ遡り病気が全快していくプロセスを通し、そんなことを問いかけられた気がします。
超一流科学者ほど目に見えない霊的な世界を信じ真摯にとらえているという話をよく聞きますが、その点で著者は流石だと思いました。
現在の科学(医学)が概して唯物主義であり、もっと心霊科学を研究解明していく必要があると悟っていきます。
目に見えない世界は、見えないから「ない」のではなく、まだ解明されていないから見えていないだけではないかと。
ワイス博士もはじめは霊的存在を信じてはいないようでしたが、業績と名声のある医学博士が実体験を通していくなかで徐々に考えを改めていくからこそ説得力があると感じます。
霊能者や宗教家が書いた本なら私は読みませんでした。
ちなみに私は、今さら「前世」を信じるか・信じないかなど考えず、ニュートラルな頭で読みましたが
理解できなかった点が3つほどあります。
・魂は永遠に生きることが分かれば、「死ぬことが怖くなくなる」という感覚。
(→私は死んで無になることが怖いのではなく、いつどんな死に方をするのか分からないのが怖い)
・マスター(精霊)の存在。
(→幽霊や神とどう違うのか?初めて知った概念だった)
・退行療法に危険は伴わないのか。(→1つの肉体で2つの人格を経験する状況は尋常ではないと思うが精神的な倒壊がないのか?)
‥ということ。
私自身は自分の前世を知ったり、トランス状態になったりするのは、信じる信じない以前に やはり怖いです。
神様がいるとすれば、私達に前世を忘れさせてくれていることにも意味があるのではないかと思います。