とりあえず思いつく本を挙げておきます

母になっても読書は日課。本の記録と紹介のブログです。(3ヶ月以内に出版されたものを「新刊」、概ね半年以内に出版されたものを「準新刊」としています)

リチャード・ドーキンス『ドーキンス博士が教える「世界の秘密」』

あのドーキンス博士が、私たちの生きる世界の現象やその謎について子供に向けて話してくれます。
大人向けの著書は専門的で難解な内容も多いですが、なんだこんな易しい文章も書くんだこの人と、少し嬉しい発見でした。

題材は例えば、宇宙の成り立ちから人類の進化、身近なところでは虹ができる理由や悪いことが起こる理由まで、多岐にわたっている印象でした。
昔の人が世界をどうとらえていたか、神話を紹介した後で、現在解明されている科学的な所見が述べられています。

ドーキンス博士が教える「世界の秘密」

ドーキンス博士が教える「世界の秘密」

地学が好きだった私としては、科学的な説明はほとんど知っていることだったのですが、子供に聞かれたときの返答の参考になりました。
私たち人類の先祖を、何千・何万枚も写真を用意して遡る思考実験など、子供が興味をもてるアプローチがいいと思います。

神話の部分は初めて知る話が多く、純粋にたのしめました。
人間は知らないことを何とか解明したい・想像したいという本能的な欲求が太古からあったことを思うと感慨深いです。

なによりオールカラーの挿し絵が美しい大型本なので、実際に高尚な秘密を知っていくような気持ちになりました。
図鑑のような事典のような体裁なので一度に読むことができず、毎日コツコツ一章ずつ読むのもまた楽しいです。
お子さんが一人で読むなら中学生以上の内容かと思いますが、噛み砕いて大人が読んであげたり、大人が教養としてたのしむのなら、その限りではありません。

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ドーキンス博士はもともと無神論者で知られています。
あえて神話と科学を対比的に描いたのには、神話への揶揄がこめられているかのようにも感じます。
私は神話の真偽は別として、神秘的な物語を作り出す人間の豊かさが好きですが、それはともかくドーキンスが科学に対して「分からないことは分からない」と謙虚に認める姿勢も嫌いではありません。




今週のお題「読書の秋」