とりあえず思いつく本を挙げておきます

母になっても読書は日課。本の記録と紹介のブログです。(3ヶ月以内に出版されたものを「新刊」、概ね半年以内に出版されたものを「準新刊」としています)

いとうみく『おねえちゃんって、いっつもがまん?!』(新刊)

長女が新刊の中から真っ先に手に取りました。
タイトルの文言は「兄姉」の立場にとっては永遠のテーマなのかもしれません。



小学校1年生のココのお母さんと、3歳のナツのお父さんが結婚し、ココとナツの二人は姉妹になりました。
妹ナツはキャラが濃く描かれていて、姉のココよりも体も大きく、激しく泣くし、家の中でも騒々しいです。
ココの小学校の運動会を控えたある日、家族のちょっとしたやりとりをキッカケに、ココは妹の存在に嫌気が差してしまいます。
「ナッちゃんなんていなくなっちゃえばいいのに!」
しかし翌日から熱を出した妹の姿を見て、揺れ動く姉心、、、。

おねえちゃんって、いっつもがまん! ? (おはなしトントン)

おねえちゃんって、いっつもがまん! ? (おはなしトントン)

まず物語の前提としてステップファミリーが描かれているというのが、現代らしく新鮮でした。
きょうだい同士の嫉妬や人間関係の難しさはおそらく多かれ少なかれどこの家庭にもあるだろうけれど、血の繋がりがない姉妹という設定をされていることで、様々な家族の在り方を自然に受け入れやすくなると感じます。
一方で血の繋がりの有無に関わらず、兄姉の葛藤は皆あるのかなという普遍的な共感も与えてくれました。

また姉妹関係だけでなく、継父と向き合ったココが自分と父との共通点を見つけ出すハートフルな場面もあります。
子供が日常のちょっとしたことで気持ちが沈んだり前向きになったりする様子が、等身大に伝わってきました。
作中のラストもココとナツがどうなったか説明的な文章ではなく、その後を読み手に想像させる良い終わり方です。


我が家にもココ・ナツと歳の近い姉妹がおり、基本的には仲良しですがケンカも勿論します。
彼女たちなりに本書を読んで共感できることがあったようで、所々分かる分かると頷いて笑っていました。

本作中で妹ナツは姉と似ておらずビジュアル的にも手強そうに描かれているので、うちの長女は自分と妹の血が繋がっていることを初めて意識していました。
妹と自分がよく似ているということが分かり嬉しかったのもあり、「うちの妹も怪獣だけど、やっぱり可愛い」と言っていました。


子供にとっても、たまには余所のきょうだい関係を見てみるのも新鮮なのかもしれません。
自分のきょうだいを子供なりに客観的に見つめ直し、かけがえのない家族の存在に気付かされたようでした。