とりあえず思いつく本を挙げておきます

母になっても読書は日課。本の記録と紹介のブログです。(3ヶ月以内に出版されたものを「新刊」、概ね半年以内に出版されたものを「準新刊」としています)

愛すべき身の回りの物質~『世界でいちばん素敵な元素の教室』(準新刊)

本を読んでいた6歳の長女が急に顔を上げて「磁石はお金にくっつかないの?」と言い出したので、さっそく小銭と磁石を探してきて実験させてみました。

「うわ!ほんとだ!くっつかない。お金には鉄を使っていないんだね。」

その時に彼女が読んでいた本には、

"磁石は鉄でできているものにくっつく"

ことと、

"1円玉→アルミニウム
5円玉→真鍮と黄銅
10円玉→銅
50円、100円、500円玉→白銅
で出来ている(から磁石がくっつかない)"

という話が書かれていたのです。

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「1円玉1枚=1gのアルミニウム」とか「10円玉は銅製だからレモン汁できれいになる」とかはたまに思い出すことがあるけれど、そういえば硬貨が何で作られているとか殆ど考えたことのない私でした。

でも素材の違いで異なる硬貨の色、よくよく見ると個人的にはなかなかナイスなデザインだと思います。



さてアルミニウムとか銅とか真鍮とか聞くと、文系の私でさえも頭のなかに「Al」「Cu」「Cu+Zn」という元素記号が浮かんできます。

(と、ブログを書いていて咄嗟にZnが亜鉛だったかスズだったか不安になり、スマホで検索して確認しました笑。スズはSnでした、いつも一瞬分からなくなる。)

不真面目で勉強なんてしていなかった高校時代、もう20年近くも昔なのに、それでも化学でむりやり覚えさせられた元素記号だとか周期表が何となく頭に残っているとは…

ネガティブに見れば学校教育の洗脳性にもゾッとする気持ちです。



『世界でいちばん素敵な元素の教室』に本屋で出会いました。
タイトルに偽りナシ、の"素敵な"内容でした。

「元素」なんて聞くと、特に文系の方なんかはアレルギー反応が出てしまいますよね。

ですがこの本は難しいミクロの世界の観念的な話ではなく、私たちの目に見える身近な世界の"元素"を魅せてくれるのです。

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https://www.amazon.co.jp/dp/product/4866730137/

まずはオールカラーの美しい写真。

地上のどこかの景観から、その元素が物質化した姿まで、スッと目に飛び込んできます。
えっ、この元素って金属だったの?!というようなレアな姿まで載っていました。

それから元素のひとつひとつの見出しにセンスが光っていて、愛着や興味のわくようなキャッチコピーになっています。

例えば、
ラジウム(Ra)→キュリー婦人が、命をかけて見つけた元素です
イリジウム(Ir)→恐竜絶滅のヒントが、この元素にはあります
、、、などなど。


もちろん全ての元素について読破しましたが、硬貨に使われている件の元素のページにも新たな発見が。
アルミニウムは昔、金・銀・銅よりも高価だったのだとか。

ほぇ~。


それにしても周期表を眺めていると、陽子の数など元素の特性がこんなにきれいな表に納まるのも神秘的すぎますよね。
世界はなんて美しく作られているのだろう…とその規則性にもウットリしてしまいます。



蛇足ですが、何も分かっていない文系のド素人の私が昔からずっと一番好きな元素は、C(炭素)とSi(ケイ素)です。
一番といいながら、ひとつに絞れません♥

まず、ダイヤモンドと黒鉛は実は同じ元素から出来ているというのはご存じの方も多いのではないでしょうか。
その元素がC(炭素)なんですよね。
生成時の圧力と温度によって組成が変わり、ダイヤモンドになったり黒鉛になったりするのだそうです。

そんなCは有機物と無機物を隔てるほど、重要な元素でもあり、、、
生物を生物たらしめている元素というイメージをもっています。

本書ではそんなことにも分かりやすく少しずつ触れられていました。

SF的な話ですが、この宇宙のどこかにはダイヤモンドでできた惑星があるんじゃないか?なんて聞いたことがあります。
なんとも夢のある話ですよね。

Siについては、私は石英にとてつもない魅力を感じるのですが、それにはSio2(二酸化ケイ素)やマグマについてお話しせねばならず、、、
というわけでここは割愛します


理系の学生でもない限り、いまさら元素について知ったところで何も役に立たないよ、と思われる方も多いかもしれません。

ですが知っていて役に立つかどうかではなく、知って心が豊かになれることが、人類に許された楽しみのひとつだと思うのです。
それを"教養"というのかな、なんて考えたりもします。


まぁ私が本書を読んで教養が身に付いたかどうかは別として(^^;
身の回りにはなんと多様な宝物が溢れているのだろうと、染々感じ入ったのでした。