とりあえず思いつく本を挙げておきます

母になっても読書は日課。本の記録と紹介のブログです。(3ヶ月以内に出版されたものを「新刊」、概ね半年以内に出版されたものを「準新刊」としています)

2018年7月の趣味の読書9冊と簡単な感想

7月は仕事のための資料の読み込みが6冊と、夏休みの子供達と共に児童書を大量に読むことが増え、自分の読みたい本があまり進みませんでした…。

それでも数えてみると、なんとか9冊(雑誌と漫画含む)は読んでいたので記録しておきたいと思います。


波頭亮『AIとBIはいかに人間を変えるのか』

AI(人工知能)とBI(ベーシックインカム)と人間社会の未来の真面目な話です。
学術書に近いノンフィクションかな。

かなり内容が濃くて勉強になりました。

これまでBI反対派だった私が、珍しく本の影響でガラッと意見を変えてBI賛成派になってしまったので、この本の感想は改めて書きたいと思っています。


②WRITERS PUBLISHING『毎日読みたい365日の広告コピー』

毎日読みたい365日の広告コピー

毎日読みたい365日の広告コピー

広告のキャッチコピーって、たった一言でハッとさせられたり考えさせられたり心を揺さぶられたりすることがあります。
コピーライターは魔術師のようです。

そんな秀逸な広告コピーが365本収録されており、季節や時期に合わせたチョイスがしてあるので一年中パラパラとめくっては楽しめるというコンセプトの本です。
月によって紙の色が異なっていたりして、装丁もお洒落です。

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ひとついうと、広告コピーは文字だけで見るのと、ビジュアルと合わせて見るのとでは、かなり印象や受け取り方が変わってしまいます。
きっと言葉そのもののもつ力に主眼を置いて本書は作られたと思いますが、やっぱりビジュアル含めた広告そのものを見てみたかったなぁというものが多くありました。


ちなみに私が好きだったのは、

あんたが生まれたことが
いちばんのニュースやった
日があるんよ。

(2008年 福井新聞社)


自分がちっぽけに思えたら、
その旅は、きっと正しい。

(2014年 H.I.S.)


入学式。
どこかに、一生の友達が
座っている。

(2014年 立教大学)


ふだんを変える。
それがいちばん
人生を変える。

(2010年 本田技研工業)


文句も知性があれば、提案になる。
(2013年 朝日新聞社)


一方で一番好きになれなかったコピーは、

逆風も、逆から見たら順風だよね。
(2010年 タフマン/ヤクルト本社)


森博嗣すべてがFになる』』

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

ある研究所の密室で、起こるはずのない殺人事件が起こります。
描写とトリックが上手すぎて、背筋が凍りつきました。

本書は森先生のデビュー作で、今読んでいるWシリーズのために読みました。
デビュー作でこんな凄い作品を出して、いきなり受賞しちゃうなんてやっぱり凄いな。

密室で殺人が起きて犯人を探す…という小説ではありますが、普通のミステリーとは一味も二味も違いました。
天才vs天才対決という構図がまず独特で興奮します。
それから、登場人物の「存在」自体を根こそぎ疑わなくてはならない謎解きは、他のミステリーにはなかなかないと思いました。

森先生は「理系ミステリー」という独自のカテゴリーに分類されていますが、確かにトリックに理系の考え方も使われています。
だけど勿論、理系でなくても読めますよ。

理系ではない私ですが、「16進法」という話が出てきた瞬間に「すべてがFになる」の意味にピンときました。



④プレジデント 7/16号』

PRESIDENT (プレジデント) 2018年7/16号(山中教授の自分を変える)

PRESIDENT (プレジデント) 2018年7/16号(山中教授の自分を変える)

前回の記事に書きました。


⑤プレジデント 7/25号』
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資料術というより、プレゼンの特集に興味があって買いました。
プレゼンのスキルって、いわゆる"プレゼンテーション"の場面以外にも必要になってくるものだと常々感じています。

自己紹介も然り、講義や授業をするときも然り、会議でのちょっとした発言も然り、商談はもちろんのこと面接で自分を売りこむときでさえ、他者に何かを伝えて賛同や理解を得たいときにはプレゼンですよね。

ということで、定期的にプレゼンスキルについては勉強したくなります。


森博嗣女王の百年密室

ある謎のユートピアで起こる殺人事件。
でも私たちが暮らす社会通念とはかなり異なっているので、人の死や事件の扱われ方が独特の展開を見せてくれます。

「死とは何か?」「肉体とは何か?」「神とは何か?」「善悪とは何か?」といった哲学的な問いが、自然にストーリーに混ぜ混まれているのが森先生らしいです。

これは下手に感想を書いてしまうと、作品の価値を下げてしまいそうなので書きません。

何よりこのファンタジーのような世界観と、人間の醜悪のギャップが、とてつもなく好きでした。



⑦真弓定夫ほか(監)『いつか母になるために』』

一言でいうと、味噌は身体に良いという話を分かりやすく教えてくれる学習コミックです。

世界三大スープに日本の味噌汁が入っていないことが納得できない私、
もちろんほぼ毎日朝と晩は味噌汁がレギュラメニューです。

味噌が身体に良いことは日本人として知っていましたが、わざわざこのように本にして啓蒙しなくてはいけないというのは、日本の伝統的な食文化が継承されていないことの表れだと感じて残念に思います。

ただ、私はあらゆる食材に様々な効用はあると思っているため
味噌汁ばかりを取り沙汰して「味噌汁を飲もう!」という姿勢ではなく、やはり色々な食品の利点と不足点を知ったうえでまんべんなく活用できたらと思います。



⑧真弓定夫(監)『経皮毒 ナプキン編』』

こちらもコミックで、石油資源からできた紙ナプキンにより、体内に毒が取り込まれるという警鐘を鳴らしています。
女性の生理用「紙ナプキン」だけでなく、赤ちゃんの紙おむつの話にも触れられており、女性だけでなくお子さんがいる男性や、これから父母になるかもしれない方は知っておいてもよい内容かと思いました。

「紙ナプキンや紙おむつは身体に悪い」とは広く知られるところですが、具体的にどのような害があるのかがよく分かると思います。
一方で、頭では身体や環境への害が分かっていても、利便性を優先させてしまう事情が現代社会にあることも事実です。

例えば私は産後の肥立ちが悪くて身体を壊したうえ完全なワンオペ育児の時期があり、布おむつを洗う余裕など皆無でした。
いつか紙おむつによる害が出るかもしれないと頭では分かっていても、まずは今日を生きるために必死で、紙おむつに頼らざるを得ませんでした。

クーラーだってそうですよね。
電力を利用しすぎて環境破壊につながるとは分かっていても、今クーラーを使わなかったら熱中症で命に関わるかもしれない。

このようにテクノロジーや利器に慣れきってしまった私たちにとって、先々の健康のために手間のかかる生活を選択するのはとても大変なことです。
ただ、害を知ったうえであえて便利さを選ぶのか、知らずに選択の余地がないのかは、大きな違いだと思います。


⑨柞刈湯葉横浜駅SF』』

横浜駅SF (カドカワBOOKS)

横浜駅SF (カドカワBOOKS)

改築工事を繰り返す「横浜駅」が自己増殖を始めて数百年、日本列島のほとんどが横浜駅と化してしまった。
脳にsuicaを埋め込まれた人間が管理されて生きる「エキナカ」社会と、suicaを持たない駅外の人間が分断されている。
あるときsuicaを持たない主人公ヒロトが、ある使命のためにエキナカの旅に出ることになった。
果たして横浜駅の中には何があり、何が起こるのか?


、、、というSFファンタジーでした。

幼少から高校卒業までを横浜で育ち、通学に毎日横浜駅を使っていた私にとって、とても興味のもてる設定でした。
現実でも、横浜駅はいつもどこかしら工事をしているので、なんとも面白い発想のSFだと思ったのです。

しかし、設定が生かしきれず、私には物足りないストーリーでした。
その理由は一重に、主人公ヒロトが「なんとな~く」旅をして終わるだけ…という印象を受けたからです。

エキナカの旅は命懸けのはずが、ヒロトにはそこまでの強いモチベーションがないんです。
それなのに言われるがままに目的地を決め、困難がやってきても相手から去っていくというか何となく解決されてしまう。

用意されたシナリオ通りに進み、予定調和的なラストを迎えた感が否めませんでした。
続編もあるようですが、もう読まないと思います。
期待していただけに残念です。