今年の読書ランキング!ベスト10
結局更新したい記事を書き終わらないまま年末ですが、備忘録としても一年の読書記録ランク付けをしておこうと思います。
今年も通常の活字の書籍なら何とか100冊読みました。
ここに雑誌、コミック、絵本なども合わせると180冊くらいです。
本のベスト10はどういう基準で選んでいるかと言うと、「忘れられない本」です。
そこには「おもしろい」だけでなく、「人に薦めたい」「新しいことを知った」「ものの見方が変わった」「怖すぎて衝撃的だった」「読んでいて腹が立った」なども含まれています。
第1位 百田尚樹『風の中のマリア』
虫が苦手とか関係ない!
闘い死んでいくメス蜂達の物語
- 作者: 百田尚樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/07/15
- メディア: 文庫
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オオスズメバチの世界を描いた小説です。
ハチは高度な社会性をもっていて、メスだけで帝国を作り上げ営んでいるのは有名な話ですが、この小説は「マリア」というワーカー(戦士)のメススズメバチが主人公で進んでいきます。
文学的でドラマチックなストーリなのですが、学術的なオオスズメバチの生態に基づいて書かれており、そのバランスが絶妙です。
様々なドラマがあるのですが、特に私が衝撃を受けたオオスズメバチの習性があります。
それまで従順だった3桁にのぼる数のワーカー蜂たちが、秋ごろのある出来事ををキッカケに、集団で自分達の女王蜂を惨殺するんです。
ですが遺伝のことなど科学的に見るととても納得できる行動で、どのオオスズメバチ集団も同じ時期に別の場所で同じ儀式をしているのかと考えると、戦慄してしまいました。
この自然界は私達人間の知の及ばない偉大な秩序で動いているということもわかり、本当に揺さぶられました。
「一寸の虫にも五分の魂」を実感させてくれます。
養老孟司さんの解説も、また一読の価値ありです。
私は虫って興味ないどころか大の苦手なんですが、それでも途中で読むのを止められませんでした。
第2位 菅原洋平『朝イチのメールが残業を増やす』
タイトルはミスってるけど…
生活を一変させてくれた「脳ミソの活用マニュアル」
- 作者: 菅原洋平
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2018/08/09
- メディア: 新書
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私達の脳には本来、一日のサイクルのなかで、時間によって適した仕事というものがあります。
その脳の働きの特性をうまく利用し、一日の効率的な使い方をしよう、というのが本書の趣旨です。
結論からいうと、時には入眠剤が必要なほど寝付きが悪かった私が、すんなりと眠れるようになるほどの効果的・実践的なことが書かれていました。
また私の教え子に、昼夜逆転して引きこもりの青年がいたのですが、私が本書で得たことを伝えて少しずつ実践したところ、午前中から起床して電車通学ができるようにまでなったのです!
著者は企業などでも睡眠研修などを行っているような立場です。
これを実践できたら、仕事の効率が暴上がりだろうなぁ。
特に私は、「視覚の使い方が、脳の情報収集モードと関係している」という話に大いに納得し、世の中にもっと広まれば自動車事故が大幅に減らせると信じています。
脳の働き方って私達が考えている以上に、人間生活を良くも悪くも変えていくので、その扱い方のマニュアルは必要だと痛感しました。
そのマニュアルに、本書を推したいです。
第3位 森博嗣『青白く輝く月を見たか?』『人間のように泣いたのか?』などほか「Wシリーズ」
青白く輝く月を見たか? Did the Moon Shed a Pale Light? Wシリーズ (講談社タイガ)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/06/19
- メディア: Kindle版
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人間のように泣いたのか? Did She Cry Humanly? (講談社タイガ)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/10/24
- メディア: 文庫
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全10巻で1つのシリーズなので、『彼女は一人で歩くのか?』から順に読むことをオススメします。
人間、人造人間、ロボット、AIと、近いうちに実現しそうな生命工学で生まれた者たちが共存する社会を描いています。
と書くとファンタジーよりのSFな感じがしますが、そこはガチの工学博士が描いた小説なので、やけにリアルで臨場感があるのです。
サスペンス、アドベンチャー、サイエンス要素もありながら一貫しているのは、「人間を人間たらしめるものは何だ?」というテーマです。
AIが本当に私達の生活に入り込んできたときに、この小説の予言のような真価が改めて取り沙汰されたり評価されたりするのではないかと、私は密かに期待しています。
第4位 薄井シンシア『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』
生き方に迷う専業・兼業すべての主婦の方に。
賛同できなければそれもまた良し。
- 作者: 薄井シンシア
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/07/06
- メディア: 単行本
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20年近く専業主婦をしていたシンシアさんは、子育てが一段落し、いざ仕事を探そうとしたときに様々な壁にぶつかってこられました。
ですが今は素晴らしいキャリアを積み続けるバリバリの"キャリアウーマン"です。
しかし彼女は実は"専業主婦"自体を立派なキャリアととらえ、家事と子育てに取り組んでこられました。
その過去と覚悟が本書では余すことなく書かれています。
正直なところ、主婦業も(金銭的な対価はなくとも)立派な仕事として取り組むなど、私も当然のことだと考えています。
ですが、シンシアさんはその主婦業としての仕事にどう取り組むか、それが就職後にどう生きるのかを具体的な経験として書かれていることが評価されているのではないかと思いました。
さて私が本書を読んで良かったと思ったのは、実は別のところにあります。
ひとつはシンシアさんが指摘する、主婦の"甘さ"の部分。
「仕事をしたいが自分にはキャリアがない」と自身がないくせに、「こういう仕事がいい」「この時給じゃやりたくない」という身勝手さと、そのくせ具体的な努力(実践的なスキルアップなど)をしていないという矛盾。
もちろん主婦の全てがそうとは思いませんが、実生活でこういう人に実際に出会うことがあり悶々とする気持ちは誰にも話せなかったので(笑)、代弁してくれてスカッとしました。
それからもう一つは、シンシアさんが仕事で認められるまで、どんなに悔しい思いをしてもガマンしたという過去の話がとても励みになっています。
私はシンシアさんの足元にも及びませんが、この話を思い出しては勇気付けられ、難しい仕事に挑戦していこうという活力にさせてもらっています。
第5位 スタニスワフ・レム『ソラリス』
地球の"海"だって、実は生きて思考しているかもしれないのだ。
- 作者: スタニスワフ・レム,岩郷重力,沼野充義
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/04/08
- メディア: 文庫
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私達は「地球外生命体」というと、いわゆる「宇宙人」という分かりやすく奇妙な姿カタチを思い浮かべがちですが、そもそも「生命体」という定義自体、人間の想像できる範囲から出ることができていないのです。
要するに地球外生命は、私達が「生きている」と気付ける形態とは限りません。
この小説は、惑星ソラリスで地球人が出会った「地球外生命」を描いています。
なんとも静かで不気味な世界観がうまく表現されています。
公表されているネタなので私も書きますが、ソラリスにいた生命体は、海洋そのものだったのです。
しかし、ただの海ではありませんでした。
ある意味、すんげー怖かった。
第6位 エレイン・N・アーロン『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ』
自分の特性も、他人の特性も、まずは知ることが大切だと
ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (SB文庫)
- 作者: エレイン・N・アーロン,Elain N.Aron,冨田香里
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2008/03/18
- メディア: 文庫
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HSP(Highly Sensitive Person )という人たちが世の中には存在するのをご存じでしょうか?
読んで字の如く、「とても敏感な人々」です。
そう書くと、「ただの神経質な人」という印象になるかもしれませんが、そうではありません。
脳の認知の特性がパーソナリティに影響していると考えた方がよさそうです。
「障害や病気があるわけでもないが生きづらい」と自身が感じている人、もしくは「感覚や考え方が細かすぎて付き合いづらい」という存在が身近にいるという人。
そんな人たちに、このHSPを知ってほしいと思いました。
私はこの存在を知ることができただけで、ずいぶんラクになることができました。
第7位 柴田よしき『小袖日記』
- 作者: 柴田よしき
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/07/09
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現代のOLが、平安時代の紫式部の側近の中にタイムスリップし、『源氏物語』のネタ集めをするというフィクションです。
めちゃくちゃ面白いです。
以前このブログにも感想を載せた記事がありますので、詳細は割愛します。
この小説は読み物として本当に面白かったのですが、読んでよかったと思う理由は、「過去の歴史にあたったときに、その人物が人格をもっていきていた人間なのだと実感できるようになったこと」です。
歴史を見る目が少し変わりました。(いい方に。)
第8位 別司芳子『髪がつなぐ物語』
"髪"は"命"そのものではないかとさえ錯覚させてくれる物語。
- 作者: 別司芳子
- 出版社/メーカー: 文研出版
- 発売日: 2017/11/01
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髪を寄付するヘアドネーションの話、ノンフィクションです。
病気で髪を失った子供達に、本物の人毛を使ったウィッグをつくって寄付するという活動のルポルタージュなのですが、、、
泣きました。
日本国内でも、まだまだ知らないことばかりです。
子供達に読んでやったら、感化され、髪を伸ばし続けています。
実際にやるかどうかは別として、苦しんでいる人がいることを知り、自分に出来ることを探してやりたいと思うこと、これが大切だと思います。
第9位 川上和人『鳥類学者、無謀にも恐竜を語る』
- 作者: 川上和人
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2018/06/28
- メディア: 文庫
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折しも劇場版『ジュラシックワールド』を観に行ったので、「こいつら爬虫類というよりむしろ鳥類(寄り)なんだよ~!」と、内心とても興奮していました。
第10位 森博嗣『すべてがFになる』
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/12/11
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デビュー作を読み返しましたが、やっぱりすごい。
番外編~コミック~
- 作者: 小山宙哉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/03/21
- メディア: コミック
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もともと宇宙が好きな私。
これまで一番好きなマンガは『うしおととら』だったのですが、30代半ばで初めて更新されました。
青年マンガ・少年マンガにありがちではありますが、夢を追う青臭さ、仲間との絆がムネアツすぎます。