「はやぶさ2」の小惑星着陸に寄せて~所感と本の紹介
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本日駆け巡った嬉しいNEWS。
2019年2月22日午前7時半ごろ、小惑星探査機「はやぶさ2」が無事に小惑星「リュウグウ」に着陸したそうです。
ハヤツー君、おめでとう!!!
2014年12月に地球を発ってから4年余りで無事に長い旅の片道を終え、これからリュウグウの組成サンプルを採取し、2020年末頃の地球への帰還予定だそうです。
往復で約6年。
個々の人間にとっては決して短くはない歳月ですが、約138億年と言われる宇宙の年齢からしたら、瞬きするほどの些細な時間です。
この6年をかけて持ち帰られた組成から、また新たに宇宙の謎を解くカギが見つかるのは、日本だけではなく人類にとっての大きな希望ですね。
(画像3点ともに
毎日新聞2019/2/22記事「はやぶさ2、リュウグウ着陸成功 データ確認で管制室に歓声」より
https://mainichi.jp/graphs/20190222/hpj/00m/040/003000g/1 )
管制室でスタッフが拍手をしたり抱き合って涙を流したりする姿を目の当たりにするたびに、「人類が協力して平和を築くというのは、こういうところから生まれるのかもしれない」と考えさせられます。
人類は自分達より強い相手や困難に直面したときにこそ、協力し合い結束するものだと思うからです。
この管制室の様子を見ると、自然と貰い泣きしてしまいます。
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このNEWSを受けて、やはり世間では日本の技術を称賛する声が上がっているようです。
もちろんこれは誇るべきことですが、それと同時に私個人としては、日本人の「無生物を擬人化する感性」にとても胸を打たれます。
ハヤツーくん、よくやった!
たった一人で長旅ご苦労様。
3億キロ彼方の宇宙で一人ぼっちだけど、皆の声は届いているはず。
帰ってきたら沢山労いの言葉をかけてあげたい。
偉業を為したそのからだは、実はとても小さくて可愛い。
(ネットで拾った関係者および一般世論の数々の反応をこちらの主観で解釈して要約。関係者も一般人も共に人類として分ける意味がないと思ったので、はやぶさ2の擬人化と祝福のニュアンスだけ伝われば。)
などなど…。
日本人は神道の影響で古来「八百万の神信仰」と言われように、万物に魂を見いだす感性をもっていました。
この度のハヤツーに対しても、まるで命と人格のある同胞のようにリスペクトして扱っているようです。
そんな姿を見るにつけ、この感性が日本の技術を支える一つの要因ではないかと思わずにいられません。
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そういえば2003~2010年に活躍した「はやぶさ(1号)」のとき、彼が到着した小惑星「イトカワ」も、擬人化ではありませんがJAXAで「ラッコ」に見立てていましたよね。
小惑星イトカワ全貌
(画像:JAXAホームページ『小惑星「イトカワ」の素顔に迫る』より
http://www.jaxa.jp/article/special/hayabusa_sp3/index_j.html )
もし今後 万が一にでも地球外生命体が見つかったとしたら、その姿がどうであれ、日本人のこの感性をもってすれば共存していけるのではないかと期待してしまいます。
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はやぶさ2のリュウグウ到着がNEWSになっても、その偉業がどれだけ大変なものであるか、そもそも探査機や小惑星とは何なのか、なかなか知る機会はないのではないかと思います。
そこで今回は、以前に読んだ『小惑星探査機「はやぶさ」宇宙の旅』の紹介記事を再掲しておきたいと思います。
(自分の文章だし面倒なので、ソースは貼らずに本文のコピペで)
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タイトルと表紙から、アーサー・C・クラーク『2001年宇宙の旅』のオマージュではないかと思ってしまう)
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2003年に日本から打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」が、地球を発ってから2010年に帰還するまでの7年間を描いた記録です。
高学年以上向けでしょうが、宇宙に詳しくない大人が読んでも感動すること間違いなしです。
小惑星とは太陽系を周回している、惑星ほどの大きさになれなかった小天体で、数百メートル~数百キロ程度のものが大部分のようです。
「はやぶさ」は 地球から数億キロ離れた「イトカワ」という小惑星に到達し、イトカワ地表の組成サンプルを持ち帰るという人類未踏の大きなミッションを担っていました。
小惑星の成分は 太陽系が出来た頃の情報が分かる言わば'太陽系の化石'で、宇宙や地球についての研究に大変役立つのです。
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「はやぶさ」には、世界初と言われる高度な技術が多く使われていました。
例えば地球からの電波もすぐには届かないほど遠い太陽系のどこかで、人間の管制室からの指令ではなく、「はやぶさ」自身が判断し着陸など行動ができるというプログラムには脱帽しました。
他にも色々日本のテクノロジーのすごさを目の当たりにし、誇らしく思います。
また、長い長い「はやぶさ」の旅には、「もうだダメかもしれない」という危機が幾度も訪れます。
イトカワへの着地失敗、燃料漏れ、応答なしの行方不明、エンジン故障、、、
しかし「今度こそもうダメだろう」と何度思っても、ほんの僅な残りの望みに賭けて対策を講じる地球人の執念と「はやぶさ」の姿が描かれていました。
「最後まで諦めない」という言葉はよく聞くけれど、「はやぶさ」とプロジェクトメンバーの起死回生のエピソードは、最後まで諦めないというのはどういうことかを身をもって教えてくれます。
行方不明になりながらも「はやぶさ」自身が必死で体勢を建て直そうともがいていたという姿には、愛しさに胸が締め付けられます。
搭載していた4つのエンジンABCDが全て壊れ、地球帰還が無理かと思われた最大のピンチには、なんとAの部品とBの部品をばらして組み換えて使うというとんでもない方法に出たときには、読みながら武者震いしてしまいました。
そんな長旅の終盤では「はやぶさ」を応援する一般人も増えていくのです。
地球市民からの「はやぶさ」へのメッセージや、「はやぶさ」が最後にたった一枚写すことができたという地球の写真、「はやぶさ」が流れ星になったという写真には、涙がこらえきれませんでした。
地球帰還のシーンは、固唾を飲んで見守る当時の人々と読者までが心をひとつにハラハラドキドキしてしまう場面です。
小さな体でひたむきに、たった一人ぼっちで宇宙を飛んでいた「はやぶさ」くん。
読んでいるうちに文章でも脳内でも擬人化されていき、まるで人格をもつ大切な存在として愛着が沸いていきました。
こんなに広くて冷たい宇宙に、熱い希望を抱いて立ち向かおうとする人類の底力を思うと、胸が熱く焼け焦げそうになります。