オーダーメイドのブックカバーが完成!
私は漆器や陶磁器など、その道ひとつで食べているような本物の職人さんに好みのモノを誂えて作っていただくことがあります。
手仕事の工芸品などの高い技術と感性が融合した逸品は、安価な量産品とはまた違った魅力をもっています。
(モノは適材適所。役割に応じて安価な量産品も喜んで使っています。)
そんな私は昨年、作風やコンセプト、ものづくり哲学に共感できる素敵な皮革作家さんに出会うことができました。
そこで長年ほしかった、自分好みの四六判ブックカバーをオーダーしてつくっていただきました!
既にけっこう使っているため、良い具合に表面に色ムラが(^^)
文庫本サイズと新書サイズは10年ほど前に友人から誕生日にプレゼントされたものを使い続けているのですが、四六判サイズは持っていなかったため、ずっと探していました。
けれど四六判サイズって、デザインの種類が少なかったり、厚みのあるハードカバーだとキツすぎて入らなかったりして、なかなか好みに合うものがなかったのです。
誂え物のよいところは、希望を伝えて作り手と相談できるところです。
サイズや色や仕様を打合せして、イメージを作家さんと共有していきます。
今回はブックカバーだけでなく、タッセルのしおりも希望しました。
本体、ステッチ、タッセルの色で数日めちゃくちゃ迷いまくりました。
私は普段、革製品や持ち物は暖色と黒でまとめているのですが、せっかくなので今回は少し遊びを入れて、初めての青に挑戦です。
これが、と~ってもきれいな青なのです。
チリの差し込み部分は、同系色のペイントでお願いしました。
外からは見えづらい部分ですが、本を開いたときにチラッと見えるのが素敵です(*´ω`*)
ペイントの中に黄色が入っているので、たまたま黄色い見返しの本を入れたら予想外にマッチ!!!
書籍を出版する際、実はこの見返し部分をどんな紙にするか、デザイナーがとても悩むところなんですよね。
私は普段から書籍の装丁もよく見る方なのですが、ブックカバーとのコーディネートがマッチしたときには垂涎ものの心地よさだということを今回経験しました(笑)
ちなみに見返しが黒のハードカバー本をいれてもまた映えます。
↑こちらが私の希望を聞いていただいたタッセル栞です。
本体もタッセルも既に使用感が出始めています👍
ここから使い込んだ良い感じの経年変化へと育っていくのです。
ステッチとタッセルはネイビーにしました。
ステッチは脇役と思われがちですが、その色によって全体的な印象がガラッと変わるかなり重要な要素です。
ステッチをネイビーにしたことで、全体が締まりました。
言うまでもなく、品質と技術はとても高くて良いものです。世界に一つだけのブックカバー。
おばあちゃんになっても使います。
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皮革製品は素人でも趣味で始められるクラフトではありますが、こちらの作家さんは長年きちんと専門の学校で勉強をされて、職人であるお父様に師事したという本物の革のプロです。
今回はブックカバーをお願いしましたが、バッグや革小物など本当に丁寧で質の高い作品を沢山拝見して、信頼してお願いすることができました。
最近では手軽なアプリが普及し、素人でも趣味程度でつくったハンドメイド品が売買できるようになりましたね。
手作り品のハードルが下がったことで、手軽にモノを作って値段がつけられるようになったことも、多様なモノの中から自由に選べるようになったことも、どちらも確かによい面はあります。
しかしそれによって、本来は高尚であったはずの手仕事で「技術の低下」と「価格の崩壊」が起こり、真摯に生業としてモノづくりをしている職人や作家を苦しめていることも確かです。
私は自分なりの価値観で「良いもの」を見極める審美眼をこれからも磨き続け、そういった技術や感性がこれからも受け継がれていくように、エンドユーザーの一人として作り手の方々とお付き合いできたらよいなと思っています。
ちなみに10~11月に注文し、1~2月頃の長めの期間で納品をお願いしていました。(2月の自分の誕生日に合わせたかった笑)
それでカバーとタッセルしおりを合わせて10,000円弱でした。
これを高いと思うか安いと思うかはそれぞれですが、本来手仕事の一点物は労力がかかるので、高価なもの。
きちんとした技術をもった作り手が自信をもって付けた値段なら、それが最も正当な価格だと私は考えています。
そして然るべきところに適正なお金を払っていくことが、よい技術を支えてのこしていくことにつながります。