とりあえず思いつく本を挙げておきます

母になっても読書は日課。本の記録と紹介のブログです。(3ヶ月以内に出版されたものを「新刊」、概ね半年以内に出版されたものを「準新刊」としています)

「はやぶさ2」の小惑星着陸に寄せて~所感と本の紹介

本日駆け巡った嬉しいNEWS。

2019年2月22日午前7時半ごろ、小惑星探査機「はやぶさ2」が無事に小惑星リュウグウ」に着陸したそうです。


ハヤツー君、おめでとう!!!


2014年12月に地球を発ってから4年余りで無事に長い旅の片道を終え、これからリュウグウの組成サンプルを採取し、2020年末頃の地球への帰還予定だそうです。

往復で約6年。
個々の人間にとっては決して短くはない歳月ですが、約138億年と言われる宇宙の年齢からしたら、瞬きするほどの些細な時間です。
この6年をかけて持ち帰られた組成から、また新たに宇宙の謎を解くカギが見つかるのは、日本だけではなく人類にとっての大きな希望ですね。


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(画像3点ともに
毎日新聞2019/2/22記事「はやぶさ2リュウグウ着陸成功 データ確認で管制室に歓声」より
https://mainichi.jp/graphs/20190222/hpj/00m/040/003000g/1 )


管制室でスタッフが拍手をしたり抱き合って涙を流したりする姿を目の当たりにするたびに、「人類が協力して平和を築くというのは、こういうところから生まれるのかもしれない」と考えさせられます。

人類は自分達より強い相手や困難に直面したときにこそ、協力し合い結束するものだと思うからです。

この管制室の様子を見ると、自然と貰い泣きしてしまいます。




このNEWSを受けて、やはり世間では日本の技術を称賛する声が上がっているようです。

もちろんこれは誇るべきことですが、それと同時に私個人としては、日本人の「無生物を擬人化する感性」にとても胸を打たれます。



ハヤツーくん、よくやった!

たった一人で長旅ご苦労様。

3億キロ彼方の宇宙で一人ぼっちだけど、皆の声は届いているはず。

帰ってきたら沢山労いの言葉をかけてあげたい。

偉業を為したそのからだは、実はとても小さくて可愛い。

(ネットで拾った関係者および一般世論の数々の反応をこちらの主観で解釈して要約。関係者も一般人も共に人類として分ける意味がないと思ったので、はやぶさ2の擬人化と祝福のニュアンスだけ伝われば。)



などなど…。

日本人は神道の影響で古来「八百万の神信仰」と言われように、万物に魂を見いだす感性をもっていました。
この度のハヤツーに対しても、まるで命と人格のある同胞のようにリスペクトして扱っているようです。
そんな姿を見るにつけ、この感性が日本の技術を支える一つの要因ではないかと思わずにいられません。





そういえば2003~2010年に活躍した「はやぶさ(1号)」のとき、彼が到着した小惑星イトカワ」も、擬人化ではありませんがJAXAで「ラッコ」に見立てていましたよね。

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小惑星イトカワ全貌
(画像:JAXAホームページ『小惑星イトカワ」の素顔に迫る』より
http://www.jaxa.jp/article/special/hayabusa_sp3/index_j.html )


もし今後 万が一にでも地球外生命体が見つかったとしたら、その姿がどうであれ、日本人のこの感性をもってすれば共存していけるのではないかと期待してしまいます。





はやぶさ2リュウグウ到着がNEWSになっても、その偉業がどれだけ大変なものであるか、そもそも探査機や小惑星とは何なのか、なかなか知る機会はないのではないかと思います。

そこで今回は、以前に読んだ『小惑星探査機「はやぶさ」宇宙の旅』の紹介記事を再掲しておきたいと思います。

(自分の文章だし面倒なので、ソースは貼らずに本文のコピペで)


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佐藤真澄『小惑星探査機「はやぶさ」宇宙の旅』

タイトルと表紙から、アーサー・C・クラーク2001年宇宙の旅』のオマージュではないかと思ってしまう)



小惑星探査機「はやぶさ」宇宙の旅

小惑星探査機「はやぶさ」宇宙の旅

2003年に日本から打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」が、地球を発ってから2010年に帰還するまでの7年間を描いた記録です。

高学年以上向けでしょうが、宇宙に詳しくない大人が読んでも感動すること間違いなしです。


小惑星とは太陽系を周回している、惑星ほどの大きさになれなかった小天体で、数百メートル~数百キロ程度のものが大部分のようです。
はやぶさ」は 地球から数億キロ離れた「イトカワ」という小惑星に到達し、イトカワ地表の組成サンプルを持ち帰るという人類未踏の大きなミッションを担っていました。
小惑星の成分は 太陽系が出来た頃の情報が分かる言わば'太陽系の化石'で、宇宙や地球についての研究に大変役立つのです。


小惑星探査機「はやぶさ」宇宙の旅

小惑星探査機「はやぶさ」宇宙の旅


はやぶさ」には、世界初と言われる高度な技術が多く使われていました。
例えば地球からの電波もすぐには届かないほど遠い太陽系のどこかで、人間の管制室からの指令ではなく、「はやぶさ」自身が判断し着陸など行動ができるというプログラムには脱帽しました。
他にも色々日本のテクノロジーのすごさを目の当たりにし、誇らしく思います。


また、長い長い「はやぶさ」の旅には、「もうだダメかもしれない」という危機が幾度も訪れます。
イトカワへの着地失敗、燃料漏れ、応答なしの行方不明、エンジン故障、、、
しかし「今度こそもうダメだろう」と何度思っても、ほんの僅な残りの望みに賭けて対策を講じる地球人の執念と「はやぶさ」の姿が描かれていました。

「最後まで諦めない」という言葉はよく聞くけれど、「はやぶさ」とプロジェクトメンバーの起死回生のエピソードは、最後まで諦めないというのはどういうことかを身をもって教えてくれます。

行方不明になりながらも「はやぶさ」自身が必死で体勢を建て直そうともがいていたという姿には、愛しさに胸が締め付けられます。
搭載していた4つのエンジンABCDが全て壊れ、地球帰還が無理かと思われた最大のピンチには、なんとAの部品とBの部品をばらして組み換えて使うというとんでもない方法に出たときには、読みながら武者震いしてしまいました。


そんな長旅の終盤では「はやぶさ」を応援する一般人も増えていくのです。
地球市民からの「はやぶさ」へのメッセージや、「はやぶさ」が最後にたった一枚写すことができたという地球の写真、「はやぶさ」が流れ星になったという写真には、涙がこらえきれませんでした。
地球帰還のシーンは、固唾を飲んで見守る当時の人々と読者までが心をひとつにハラハラドキドキしてしまう場面です。


小さな体でひたむきに、たった一人ぼっちで宇宙を飛んでいた「はやぶさ」くん。
読んでいるうちに文章でも脳内でも擬人化されていき、まるで人格をもつ大切な存在として愛着が沸いていきました。


こんなに広くて冷たい宇宙に、熱い希望を抱いて立ち向かおうとする人類の底力を思うと、胸が熱く焼け焦げそうになります。


オーダーメイドのブックカバーが完成!

私は漆器や陶磁器など、その道ひとつで食べているような本物の職人さんに好みのモノを誂えて作っていただくことがあります。

手仕事の工芸品などの高い技術と感性が融合した逸品は、安価な量産品とはまた違った魅力をもっています。
(モノは適材適所。役割に応じて安価な量産品も喜んで使っています。)


そんな私は昨年、作風やコンセプト、ものづくり哲学に共感できる素敵な皮革作家さんに出会うことができました。
そこで長年ほしかった、自分好みの四六判ブックカバーをオーダーしてつくっていただきました!

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既にけっこう使っているため、良い具合に表面に色ムラが(^^)

文庫本サイズと新書サイズは10年ほど前に友人から誕生日にプレゼントされたものを使い続けているのですが、四六判サイズは持っていなかったため、ずっと探していました。
けれど四六判サイズって、デザインの種類が少なかったり、厚みのあるハードカバーだとキツすぎて入らなかったりして、なかなか好みに合うものがなかったのです。


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誂え物のよいところは、希望を伝えて作り手と相談できるところです。
サイズや色や仕様を打合せして、イメージを作家さんと共有していきます。

今回はブックカバーだけでなく、タッセルのしおりも希望しました。

本体、ステッチ、タッセルの色で数日めちゃくちゃ迷いまくりました。

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私は普段、革製品や持ち物は暖色と黒でまとめているのですが、せっかくなので今回は少し遊びを入れて、初めての青に挑戦です。

これが、と~ってもきれいな青なのです。

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チリの差し込み部分は、同系色のペイントでお願いしました。
外からは見えづらい部分ですが、本を開いたときにチラッと見えるのが素敵です(*´ω`*)

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ペイントの中に黄色が入っているので、たまたま黄色い見返しの本を入れたら予想外にマッチ!!!

書籍を出版する際、実はこの見返し部分をどんな紙にするか、デザイナーがとても悩むところなんですよね。
私は普段から書籍の装丁もよく見る方なのですが、ブックカバーとのコーディネートがマッチしたときには垂涎ものの心地よさだということを今回経験しました(笑)

ちなみに見返しが黒のハードカバー本をいれてもまた映えます。

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↑こちらが私の希望を聞いていただいたタッセル栞です。
本体もタッセルも既に使用感が出始めています👍
ここから使い込んだ良い感じの経年変化へと育っていくのです。


ステッチとタッセルはネイビーにしました。
ステッチは脇役と思われがちですが、その色によって全体的な印象がガラッと変わるかなり重要な要素です。
ステッチをネイビーにしたことで、全体が締まりました。


言うまでもなく、品質と技術はとても高くて良いものです。世界に一つだけのブックカバー。
おばあちゃんになっても使います。



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皮革製品は素人でも趣味で始められるクラフトではありますが、こちらの作家さんは長年きちんと専門の学校で勉強をされて、職人であるお父様に師事したという本物の革のプロです。
今回はブックカバーをお願いしましたが、バッグや革小物など本当に丁寧で質の高い作品を沢山拝見して、信頼してお願いすることができました。



最近では手軽なアプリが普及し、素人でも趣味程度でつくったハンドメイド品が売買できるようになりましたね。

手作り品のハードルが下がったことで、手軽にモノを作って値段がつけられるようになったことも、多様なモノの中から自由に選べるようになったことも、どちらも確かによい面はあります。

しかしそれによって、本来は高尚であったはずの手仕事で「技術の低下」と「価格の崩壊」が起こり、真摯に生業としてモノづくりをしている職人や作家を苦しめていることも確かです。


私は自分なりの価値観で「良いもの」を見極める審美眼をこれからも磨き続け、そういった技術や感性がこれからも受け継がれていくように、エンドユーザーの一人として作り手の方々とお付き合いできたらよいなと思っています。



ちなみに10~11月に注文し、1~2月頃の長めの期間で納品をお願いしていました。(2月の自分の誕生日に合わせたかった笑)
それでカバーとタッセルしおりを合わせて10,000円弱でした。
これを高いと思うか安いと思うかはそれぞれですが、本来手仕事の一点物は労力がかかるので、高価なもの。
きちんとした技術をもった作り手が自信をもって付けた値段なら、それが最も正当な価格だと私は考えています。

そして然るべきところに適正なお金を払っていくことが、よい技術を支えてのこしていくことにつながります。

バレンタインと友チョコ

男の子のお母さんは、息子がチョコをもらえるか?お返しをどうするか?で悩む一方、女の子のお母さんは近年、友チョコ作りで悩まされるのだとか。。。


わが家はこれまで、娘の幼稚園でバレンタインチョコが厳しく禁じられていたおかげで、やりとりをするような面倒はありませんでした。

しかし今年は小学生になった長女が友チョコなるものをもらってきたので、お返しのために、数日遅れながらも土日に作りました。
小1と年少の娘達と共に、、、
バレンタイン商戦の思う壺です。



私はシックなチョコ菓子が好きなんですが、小学生の友チョコはどのようなものが良いのか調べると、

いかに安く!
簡単に!
沢山!
かわいく!
つくれるか!

が肝心なようで。

既製品の加工(≒デコっただけ)にしました!!笑!!

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①ミニドーナツにピックをさす。
②湯煎で溶かしたチョコをぬる。
③アラザンやチョコペンで飾る。
④冷やして固める。

かんたん~♪
マシュマロを使ったレシピを見つけたので、食べごたえのあるドーナツにかえてやってみました。


ラッピングは、家にあったセロファン袋と折り紙や紙ざら、仕上げのシールで簡単に。
私も職場で生徒にチョコをいただいたので、お返しに渡したら喜んでくれましたよ。

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【材料費】約20個分(税抜き)
ピック 100円
ホワイト板チョコ 78円
ミルク板チョコ 78円
ミニドーナツ 100円
アラザン 100円
コペン 98円
合計 554円


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以前はよく、夫の好きなチョコ生地のロールケーキをバレンタインにも作っていたのですが、フワフワすぎて子供が配るには型崩れが心配なので却下です。

もし来年も友チョコが必要になったら😭
何か考えないとなぁ。

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大人が好んでお菓子を作るなら、大人向けの色々な料理本を漁るのですが。
子供が作りたがったときには、児童書コーナーの料理本がピッタリだと思いました。

火を使わないものや、既製品の加工などで簡単な手順でできるもの、少ない材料費で出来るものが多く載っています。
イデア勝ちですね。

はじめてでもかんたん!HAPPY 友チョコ

はじめてでもかんたん!HAPPY 友チョコ

ミラクルかんたん!チョコ&クッキーラブリーレシピ

ミラクルかんたん!チョコ&クッキーラブリーレシピ

次の機会には、何をつくるか決めるところから自分でやらせようかな。
キッチンぐちゃぐちゃになりそうで怖いな😅

ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史・上』

人類はその知性を用いて、地球環境を搾取したりコントロールしたり、あるいは他の生物の頂点に達したかのように考えられたりすることがあります。
実際に、人間の都合で自然環境を好きに利用していますし、多くの宗教では人間を他の動物とは区別して特別視しています。

しかしその一方で、私は「人類は特別な存在ではなく、知的に進化しただけの単なる脊椎動物のひとつに過ぎないのでは?」という疑念も昔から抱いてきました。



サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福


ベストセラーの『サピエンス全史・上』を読みましたが、本書は私のそんな疑念を肯定に変えてくれました。

本書では、われわれ人類(=ホモ・サピエンス)がどのような進化を遂げて今日に至り、これからどのような発展を遂げていくのだろうかということを、主に文化史の角度から考察していきます。

われわれサピエンスの特長としては一般的に

「言語をもつ」「道具をつくって使う」
≒「知能の高さ」

などと言われるようですが、本書ではむしろ「虚構を信じるようになった」ことが知性であり、ホモ・サピエンスたらしめる進化上の特性だと断言しています。

イルカやハチなど何らかのコミュニケーション手段(=言語)や社会性をもつ動物はいるし、いわんや霊長類なんかは道具を使い、知能の高い動物はいくらでもいます。
しかし、ホモサピエンスは「虚構」つまり「観念」や「妄想」をもつことができたから、「未来」「権力者」「神」「国」などという目に見えない概念を共有することが出来るようになり、独自の進化を遂げたというのが筆者の主張です。
まさにその通りと納得しました。


移住を伴う狩猟採集社会から定住型の農耕社会への変換、物々交換から貨幣経済の誕生、サピエンスの大陸間移動に伴う生物の大量絶滅、、、
などなど改めてサピエンス社会の進化と発展を辿りましたが、こうして地球史とともにサピエンスを眺めると、我々も単なる動物の進化過程のひとつに過ぎないという思いが強くなりました。

進化上でたまたま得た特性を本能のままに扱ってきたら、たまたま「人類社会」というサピエンスの集団ができたのだと。
私たちが「理性」という概念をもてること自体、「本能」の一部ではないのかと。
そんなふうに感じたのです。

だから環境破壊や戦争など人道的に悪いと言われていることも、「人類が誕生してから今日までの、どこからが"悪"と言えるのか?どの時点に遡って止めさせればよかったのか?」と考えると、答えは出ません。
サルが食べかすなどのゴミを散らかしても、群の中で争っても、「環境破壊はダメ!」「戦争反対!」なんて思いませんよね。
「そういうことをする動物なんだ」と考えるしかありません。

そう考えると我々サピエンスによる環境破壊も戦争も、結局は、動物が本能で屍肉を食い散らかすことと根本的には変わらなかったり、繋がったりしている面があるんですよね。

もちろん、だからといって簡単に環境破壊や戦争などを肯定できないのも、私がサピエンスとしての本能をもっているからであります。


本書の大筋の中に、サピエンスとネアンデルタール人が出会った後どのように後者が滅びていったのかという説と、交配できなかったと言われていたネアンデルタール人のDNAがサピエンスから見つかったという記述がありました。

サピエンスが知性を発達させて生き残ることができ、自然界で支配力や繁殖力などを強めたとすれば、この別種の人類との交配や攻防がひとつ大きな要因になっているのではないかと私は興味をもっています。

ネアンデルタール人との交配については前から少し知っていたのですが、今回詳しい諸説を読み、更にもっと知りたいと思った部分です。


「人類は知的に進化した脊椎動物のひとつに過ぎない」とはいえ、現在70億にも増えた人口を考えれば、種の繁栄という意味では間違いなく弱者ではなく強者の部類には入るはずです。

本書は様々な立場や観点からたのしむことのできるノンフィクションだと思います。
しかしこのように、"サピエンス"を我々当事者が客観的な視点で捉えさせることが、本書の一番の価値なのでしょう。

発売当初から図書館で予約していたのですが、ベストセラーすぎて私の前に既に3桁の予約が入っており、2年以上経ってからようやく手元に届きました。(購入したいというほどではなかった)

人気が出すぎたベストセラー本って、実際に読んでみるとたいして面白くないことが多いのですが、こちらは予想に反して興味のもてる内容でした。

下巻もいつ届くか分かりませんが、楽しみです。

2019年1月の読書4(!)冊

受け持っていた生徒たちが皆第一志望の大学に受かり、いよいよ卒業に向けて動き始めた2月です。
そして新たな受験生を迎え、また他方の仕事では新しいご用命をいただき、さらに毎年恒例の確定申告の準備をしたり、、、と相変わらずバタバタせわしい毎日です。

私は雇用という形態ではなく、特殊な(?)仕事の請け負い方をして個人事業主として勤務しているため、仕事は受けられるときに受けるスタンスです。

さて、そんな中で1月の自分の読書としては4冊しか読めませんでした。
けれど辞書級の厚さで定評のあるコニー・ウィリス女史の小説を2冊読んだので、ボリュームとしてはお腹いっぱいになることができました。

1月の読書記録を残しておきたいと思います。


コニー・ウィリス『航路・上』
コニー・ウィリス『航路・下』(早川書房)

生死の狭間を彷徨う「臨死体験」。
スピリチュアルに捉えられがちですが、これを科学的に解明しようという医療現場を舞台にしたSFです。

臨死体験の研究をしている認知心理学者のジョアンナは、人為的に「臨死状態」を作り出して脳の働きを調べようという新規プロジェクトに参加します。
そんな中で自身が被験者となり臨死状態に入ると、なんと思いもよらない経験をしたのです…。

多様な人生の中で人が必死で「生きよう」ともがく本能を垣間見せられる長編小説でした。
ですが(よい意味で)軽いエンターテインメントにとどまり、「まぁ、面白かった」程度の感想です。
この小説にはある映画の話題が出てくるので、映画好きの私はそちらをたのしみました。

コニー・ウィリスの名著「ブラックアウト」と「オールクリア」ほどの衝撃はありませんでした。
しかし女史の新しい"辞書級の"小説が12月に出たので、今、地元の図書館に購入手続きをしてもらいこちらを楽しみにしているところです。


③ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史・上』(川出書房新社)

今さらですが、読んでよかったと思います。

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

感想は、長くなるので次の記事に書きます。


④イルセ・サン『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』

昨年のはじめ、あることをキッカケに自分がHSPと知り、それからというもの関係する本を漁っては読んでいます。

目的は、自分自身がHSPを知ることと、生きづらさを少しでも軽減できる方法を見つけること。

鈍感な世界に生きる 敏感な人たち

鈍感な世界に生きる 敏感な人たち

HSPとはHighly Sensitive Personのことで、精神病理学で「敏感すぎる人」たちのことを指す、最近生まれた括りだそうです。

単なる繊細とか神経質ではなく、認知や感覚を司る脳の反応が顕著に大きいという特性があるらしいです。
病気や障害でもないのですが、そのため社会生活や心身の健康面でも様々な影響が出やすいことが解明されています。

ただHSPは困難なことばかりではなく、むしろ能力であり、感受性の高さなど社会生活や仕事面で生かせる点も多いので、その特性を潰さずうまく生かしましょう、というのが本書の主旨でした。

実際に読んでみると、ここに書いてあることがほぼ100%近く、私自身の性質と合致して驚きました。
特に人と争うこと、子育て、自尊心の低さについての記述。

巷では"多様性を認める社会を目指そう"という動きはあるものの、「ではその多様性というのはどのようなものなのか?」と
キチンと分析して理解や共存をしようというところまでは進んでいないと私は感じています。
それならば、まずは自分自身を客観的に見ようという試みとして、本書はとても役立ちました。

私はまだ自分の気質をなんとか上手く扱えているほうだと思うので、社会生活上の困難は小さく押さえられているのですが、でもやっぱり理解されたい・理解したい…という気持ちはあります。

今年の読書ランキング!ベスト10

結局更新したい記事を書き終わらないまま年末ですが、備忘録としても一年の読書記録ランク付けをしておこうと思います。

今年も通常の活字の書籍なら何とか100冊読みました。
ここに雑誌、コミック、絵本なども合わせると180冊くらいです。

本のベスト10はどういう基準で選んでいるかと言うと、「忘れられない本」です。
そこには「おもしろい」だけでなく、「人に薦めたい」「新しいことを知った」「ものの見方が変わった」「怖すぎて衝撃的だった」「読んでいて腹が立った」なども含まれています。


第1位 百田尚樹『風の中のマリア』

虫が苦手とか関係ない!
闘い死んでいくメス蜂達の物語

風の中のマリア (講談社文庫)

風の中のマリア (講談社文庫)

オオスズメバチの世界を描いた小説です。
ハチは高度な社会性をもっていて、メスだけで帝国を作り上げ営んでいるのは有名な話ですが、この小説は「マリア」というワーカー(戦士)のメススズメバチが主人公で進んでいきます。
文学的でドラマチックなストーリなのですが、学術的なオオスズメバチの生態に基づいて書かれており、そのバランスが絶妙です。

様々なドラマがあるのですが、特に私が衝撃を受けたオオスズメバチの習性があります。
それまで従順だった3桁にのぼる数のワーカー蜂たちが、秋ごろのある出来事ををキッカケに、集団で自分達の女王蜂を惨殺するんです。
ですが遺伝のことなど科学的に見るととても納得できる行動で、どのオオスズメバチ集団も同じ時期に別の場所で同じ儀式をしているのかと考えると、戦慄してしまいました。

この自然界は私達人間の知の及ばない偉大な秩序で動いているということもわかり、本当に揺さぶられました。
「一寸の虫にも五分の魂」を実感させてくれます。
養老孟司さんの解説も、また一読の価値ありです。

私は虫って興味ないどころか大の苦手なんですが、それでも途中で読むのを止められませんでした。



第2位 菅原洋平『朝イチのメールが残業を増やす』

タイトルはミスってるけど…
生活を一変させてくれた「脳ミソの活用マニュアル」

私達の脳には本来、一日のサイクルのなかで、時間によって適した仕事というものがあります。
その脳の働きの特性をうまく利用し、一日の効率的な使い方をしよう、というのが本書の趣旨です。

結論からいうと、時には入眠剤が必要なほど寝付きが悪かった私が、すんなりと眠れるようになるほどの効果的・実践的なことが書かれていました。
また私の教え子に、昼夜逆転して引きこもりの青年がいたのですが、私が本書で得たことを伝えて少しずつ実践したところ、午前中から起床して電車通学ができるようにまでなったのです!

著者は企業などでも睡眠研修などを行っているような立場です。
これを実践できたら、仕事の効率が暴上がりだろうなぁ。

特に私は、「視覚の使い方が、脳の情報収集モードと関係している」という話に大いに納得し、世の中にもっと広まれば自動車事故が大幅に減らせると信じています。

脳の働き方って私達が考えている以上に、人間生活を良くも悪くも変えていくので、その扱い方のマニュアルは必要だと痛感しました。
そのマニュアルに、本書を推したいです。



第3位 森博嗣『青白く輝く月を見たか?』『人間のように泣いたのか?』などほか「Wシリーズ」

全10巻で1つのシリーズなので、『彼女は一人で歩くのか?』から順に読むことをオススメします。

人間、人造人間、ロボット、AIと、近いうちに実現しそうな生命工学で生まれた者たちが共存する社会を描いています。

と書くとファンタジーよりのSFな感じがしますが、そこはガチの工学博士が描いた小説なので、やけにリアルで臨場感があるのです。

サスペンス、アドベンチャー、サイエンス要素もありながら一貫しているのは、「人間を人間たらしめるものは何だ?」というテーマです。

AIが本当に私達の生活に入り込んできたときに、この小説の予言のような真価が改めて取り沙汰されたり評価されたりするのではないかと、私は密かに期待しています。



第4位 薄井シンシア『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』

生き方に迷う専業・兼業すべての主婦の方に。
賛同できなければそれもまた良し。

専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと

専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと

20年近く専業主婦をしていたシンシアさんは、子育てが一段落し、いざ仕事を探そうとしたときに様々な壁にぶつかってこられました。
ですが今は素晴らしいキャリアを積み続けるバリバリの"キャリアウーマン"です。

しかし彼女は実は"専業主婦"自体を立派なキャリアととらえ、家事と子育てに取り組んでこられました。

その過去と覚悟が本書では余すことなく書かれています。

正直なところ、主婦業も(金銭的な対価はなくとも)立派な仕事として取り組むなど、私も当然のことだと考えています。
ですが、シンシアさんはその主婦業としての仕事にどう取り組むか、それが就職後にどう生きるのかを具体的な経験として書かれていることが評価されているのではないかと思いました。

さて私が本書を読んで良かったと思ったのは、実は別のところにあります。
ひとつはシンシアさんが指摘する、主婦の"甘さ"の部分。
「仕事をしたいが自分にはキャリアがない」と自身がないくせに、「こういう仕事がいい」「この時給じゃやりたくない」という身勝手さと、そのくせ具体的な努力(実践的なスキルアップなど)をしていないという矛盾。
もちろん主婦の全てがそうとは思いませんが、実生活でこういう人に実際に出会うことがあり悶々とする気持ちは誰にも話せなかったので(笑)、代弁してくれてスカッとしました。

それからもう一つは、シンシアさんが仕事で認められるまで、どんなに悔しい思いをしてもガマンしたという過去の話がとても励みになっています。
私はシンシアさんの足元にも及びませんが、この話を思い出しては勇気付けられ、難しい仕事に挑戦していこうという活力にさせてもらっています。



第5位 スタニスワフ・レムソラリス

地球の"海"だって、実は生きて思考しているかもしれないのだ。


私達は「地球外生命体」というと、いわゆる「宇宙人」という分かりやすく奇妙な姿カタチを思い浮かべがちですが、そもそも「生命体」という定義自体、人間の想像できる範囲から出ることができていないのです。

要するに地球外生命は、私達が「生きている」と気付ける形態とは限りません。

この小説は、惑星ソラリスで地球人が出会った「地球外生命」を描いています。
なんとも静かで不気味な世界観がうまく表現されています。

公表されているネタなので私も書きますが、ソラリスにいた生命体は、海洋そのものだったのです。
しかし、ただの海ではありませんでした。

ある意味、すんげー怖かった。



第6位 エレイン・N・アーロン『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ』

自分の特性も、他人の特性も、まずは知ることが大切だと

ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (SB文庫)

ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (SB文庫)

HSP(Highly Sensitive Person )という人たちが世の中には存在するのをご存じでしょうか?
読んで字の如く、「とても敏感な人々」です。
そう書くと、「ただの神経質な人」という印象になるかもしれませんが、そうではありません。
脳の認知の特性がパーソナリティに影響していると考えた方がよさそうです。

「障害や病気があるわけでもないが生きづらい」と自身が感じている人、もしくは「感覚や考え方が細かすぎて付き合いづらい」という存在が身近にいるという人。
そんな人たちに、このHSPを知ってほしいと思いました。

私はこの存在を知ることができただけで、ずいぶんラクになることができました。



第7位 柴田よしき『小袖日記』

小袖日記 (文春文庫)

小袖日記 (文春文庫)

現代のOLが、平安時代紫式部の側近の中にタイムスリップし、『源氏物語』のネタ集めをするというフィクションです。
めちゃくちゃ面白いです。

以前このブログにも感想を載せた記事がありますので、詳細は割愛します。

この小説は読み物として本当に面白かったのですが、読んでよかったと思う理由は、「過去の歴史にあたったときに、その人物が人格をもっていきていた人間なのだと実感できるようになったこと」です。

歴史を見る目が少し変わりました。(いい方に。)


第8位 別司芳子『髪がつなぐ物語』

"髪"は"命"そのものではないかとさえ錯覚させてくれる物語。

髪がつなぐ物語 (文研じゅべにーる・ノンフィクション)

髪がつなぐ物語 (文研じゅべにーる・ノンフィクション)

髪を寄付するヘアドネーションの話、ノンフィクションです。
病気で髪を失った子供達に、本物の人毛を使ったウィッグをつくって寄付するという活動のルポルタージュなのですが、、、

泣きました。

日本国内でも、まだまだ知らないことばかりです。
子供達に読んでやったら、感化され、髪を伸ばし続けています。
実際にやるかどうかは別として、苦しんでいる人がいることを知り、自分に出来ることを探してやりたいと思うこと、これが大切だと思います。



第9位 川上和人『鳥類学者、無謀にも恐竜を語る』

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (新潮文庫)

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (新潮文庫)

折しも劇場版『ジュラシックワールド』を観に行ったので、「こいつら爬虫類というよりむしろ鳥類(寄り)なんだよ~!」と、内心とても興奮していました。



第10位 森博嗣すべてがFになる

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

デビュー作を読み返しましたが、やっぱりすごい。



番外編~コミック~

宇宙兄弟(1) (モーニング KC)

宇宙兄弟(1) (モーニング KC)

小山宙哉宇宙兄弟

もともと宇宙が好きな私。

これまで一番好きなマンガは『うしおととら』だったのですが、30代半ばで初めて更新されました。

青年マンガ・少年マンガにありがちではありますが、夢を追う青臭さ、仲間との絆がムネアツすぎます。



ちょっと休憩中

現在読書雑考⑤として「子供を読書好きに育てるには」を書きかけです。

が、ちょっと忙しすぎて更新にまでいたっていません。

次は11月半ば以降には更新できたらいいな~と考えております。

更新が滞っているにも関わらず、毎日一定数以上のアクセス数があること感謝いたします。