とりあえず思いつく本を挙げておきます

母になっても読書は日課。本の記録と紹介のブログです。(3ヶ月以内に出版されたものを「新刊」、概ね半年以内に出版されたものを「準新刊」としています)

角野栄子『靴屋のタスケさん』(新刊)

戦時中の暮らし、心のふれあい、戦争の悲劇などを、子供目線で描いた童話です。


1942年のある日、近所の空き店舗にタスケの靴屋さんが入りました。
小学校1年生の「わたし」はタスケさんの靴修理や靴作りの仕事を見せてもらううち、段々仲良くなっていきます。
ある日、お父さんの許しを得て「わたし」はタスケさんに靴を誂え作ってもらったけれど、タスケさんは戦争に出兵することになり、、、というお話です。

靴屋のタスケさん

靴屋のタスケさん

前半のタスケさんと少女の交流が温かいだけに、中盤以降は静かな哀愁が心に染み入りました。
戦争で失われるものと、いつまでも失われず心のどこかに残っているものを垣間見た気がします。

私としては、タスケさんに作ってもらった赤い靴を「わたし」が履いた挿し絵が鮮烈すぎて、一番グッと涙腺にきてしまいました。
一足の靴に、タスケさんはもちろん父や祖母の愛情と、「わたし」の憧れなど色々なものが込められているように感じたのに…、、、。

娘は娘で、また別のポイントが心にしみたようです。

ほんの少し厚みの増した絵本の延長のような分量でなので、読み聞かせも一人読みも年長か1年生からオススメです。
(漢字にはルビがふってあるので、5歳年長の娘も一人で読んでいました。)
ラストの描写は現実と空想が混ざっているので少し難しいかもしれませんが、これも慣れでしょう。