とりあえず思いつく本を挙げておきます

母になっても読書は日課。本の記録と紹介のブログです。(3ヶ月以内に出版されたものを「新刊」、概ね半年以内に出版されたものを「準新刊」としています)

『三色のキャラメル』

母になれたからこそ読んでよかったと感じる、ある女性の不妊経験の記録です。

他人が持っていないものと自分が持っているものを比べて「自分は幸せだ」と考えるのは個人的にはあまり好きではありませんが、
自分と異なる立場の人の経験や心情を真剣に知ろうとすることは、とても大切なことではないでしょうか。

三色のキャラメル 不妊と向き合ったからこそわかったこと

三色のキャラメル 不妊と向き合ったからこそわかったこと

不妊治療は精神的・肉体的・経済的に苦痛を伴う大変なことだというのは、今や社会でも知られるようにはなってきました。
けれどそんな当事者の話を、その人の人生ごと本気で受け止める覚悟で共有できる機会はなかなかありません。

本書では不妊だけに焦点を絞るのではなく、それをとりまく離婚と再婚、流産、不妊治療、手術、痛み、キャリアの断念、、、など著者の壮絶な苦しみや決断の経験が語られています。
読み進めるなかで何度涙を堪えきれなくなったか知れません。
妊娠・出産のみならず、キャリアや結婚、人付き合いや義理実家との折り合いのつけかた等々現代の女性の生き方についても大変深く考えさせてくれました。


世の中には、結婚ができなくて悩む人がいれば離婚したくて苦しむ人もおり、妊娠出産できずに苦しむ人がいる一方で子育てに悩む人もいます。
なんと皮肉なことかと思いながらも、立場は実に様々です。

それでも人の命の尊さ、自分の存在のかけがえのなさは、どんな人生に生きていても変わることがないということを本書は何より伝えてくれました。
そして悩み苦しんだ末に前向きに生きる著者の姿から、生きていく勇気を分けてもらうことができました。