とりあえず思いつく本を挙げておきます

母になっても読書は日課。本の記録と紹介のブログです。(3ヶ月以内に出版されたものを「新刊」、概ね半年以内に出版されたものを「準新刊」としています)

平山英三『おにぎり』

日本の伝統料理は数あれど、おにぎりほど私達の暮らしに馴染んだ手頃な主食はなかなか思い付きません。

日本でのおにぎりの起源は、なんと弥生時代にまで遡るそうです。
「おむすびころりん」など昔話でも 山へしばかりに行く爺さんの必携帯食として登場しますし、もちろん現代人の多くもおにぎりを消費しています。
おにぎりが長きに渡り愛されてきたことを考えると、米を主食としてきた日本人の食文化を改めて思い知らされるのではないでしょうか。

さてそんな日本国民のソウルフードを題材にした『おにぎり』という絵本があります。

おにぎり (幼児絵本シリーズ)

おにぎり (幼児絵本シリーズ)

この作品は、ほかほかに炊けた米を手に取り、梅を入れて、握って塩をふって、海苔をまいて、、、
というおにぎりを作る過程が綴られています。
表紙からも分かりますが、挿し絵の海苔の照り具合が素晴らしいです。

「ぎゅ ぎゅ ぎゅ」

極めてシンプルな動作に、擬態語を使ったリズミカルな文章。
この何の変鉄もない一連の流れを絵本で改めて見せられると、繰り返していくうちに「おにぎり」という食べ物の魅力がジワジワと胸に迫ってきます。

「のりまき」や「ちまき」や更に最近では「おにぎらず」なるものまで 「おにぎり」に似た主食はいくらかあり、具材にもこだわればキリがありませんが、おにぎりは究極のところ 「米」さえあれば作れます。
碗に盛った米と素材が一緒であっても、一手間加えれば別の料理になるのです。


私はこの絵本を通して、見慣れた三角形の中に
深遠な歴史や文化、日本人の食への愛着を感じました。

booksformams.hatenablog.com

こちらの『くだもの』と同じ作者です。