とりあえず思いつく本を挙げておきます

母になっても読書は日課。本の記録と紹介のブログです。(3ヶ月以内に出版されたものを「新刊」、概ね半年以内に出版されたものを「準新刊」としています)

かがくい ひろし『だるまさんが』

子供たちに大人気のこの絵本。
乳幼児向け絵本の紹介には必ずと言ってよいほど載っていますし、所有している もしくは持っていなくても読んだことのある方は多いのではないでしょうか。

我が家の子供たちも大好きです。

だるまさんが

だるまさんが

幼児はもちろんのこと、赤ちゃんにもとても分かりやすい内容です。

だるまさんが、[だ る ま さ ん が]
という言葉に合わせて体を揺らし、「ころんだ?」と思いきや、ページをめくると全く予想外(?)のポーズをとっている…を何度か繰り返していきます。

読んでいると子供たちも無意識のうちに一緒に体を揺らしてしまう、というのがこの絵本のステキな魔法です。


以前ある音楽家の方から「人は皆、体内にリズムをもっている。階段を上るのも食事をするのも文字を書くのも、何をするにも無意識のうちに心地のよいリズムをさがしている。様々なリズムのバリエーションを持てると適応能力がつく。子供は幼いうちにリズム感覚を育ててやるとよい。」というお話を伺いました。

『だるまさんが』を読んで体を揺らす子供たちを見るたびに、この言葉を思い出します。
この絵本は、子供の中にある原始的なリズム感を呼び起こすのだと思います。


そもそも不思議と「だ・る・ま・さ・ん・が」は、誰が読んでも

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に聞こえるのです。

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と読んでしまうと、このずんぐりした体が揺れる感じが表現できません。


さらに、同じ四分音符でも

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でも

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のどちらでもありません。
試してみると違和感があります。

これは「だるまさんが」の六文字の成り立ちが、「だるまさ んが」でも「だる まさんが」でもなく、「だるま さんが」と三音に分けられるからではないかと察しがつきます。

もちろん絵本を読んでいるときはこんな細かいことは気にしませんが、身の回りの音を一線譜に書き換えて解釈する和太鼓の遊びがあるので、ちょっとやってみました。

(…なんて、晩酌しながら一線譜を落書きしていたまでです笑)


そう考えると、この絵本は無意識のうちに身体や日本語やオブジェクトの雰囲気に合わせたリズム感を体験させてくれることがよく分かります。

また言うまでもなく「だ・る・ま・さ・ん・が」と体を揺らした後にくるポーズも、子供には親しみやすく真似してみたくなるものです。


かわいいような奇妙な(私にはそう感じる)表情もあいまって、口に出したくなる・体を動かしたくなる楽しさが、子供たちに愛される理由なのだろうと思いました。

『だるまさんと』『だるまさんの』など、シリーズで他にも出版されています。

だるまさんと〈3〉 (かがくいひろしのファーストブック 3)

だるまさんと〈3〉 (かがくいひろしのファーストブック 3)

だるまさんの (かがくいひろしのファーストブック)

だるまさんの (かがくいひろしのファーストブック)

何冊かを併用すると、自然と助詞(格助詞)の違いや使い方が感覚的に身に付くのではないかと思います。

だるまさん、何気に奥深いです。