とりあえず思いつく本を挙げておきます

母になっても読書は日課。本の記録と紹介のブログです。(3ヶ月以内に出版されたものを「新刊」、概ね半年以内に出版されたものを「準新刊」としています)

石田雅男『老いもまたよし』

私は今30代ですが、老後のことを考えさせてくれる本もたまに読みます。

理由は主に、
・老後の社会の見通しがつかず不安なため
・老後に向けて今からできることを探るため
・今現在「老後生活」を送っている人のことを知りたいため

の3つです。


石田雅男(著)『老いもまたよし』は、年配の方が定年退職した後どのように生きるのかを、優しく寄り添う口調で啓発する本です。

老いもまたよし (幻冬舎ルネッサンス新書)

老いもまたよし (幻冬舎ルネッサンス新書)


本書はざっくりまとめると、
・良き老後生活に不可欠な健康的な脳・身体・心でいるために
・これまでの人生の消化の仕方とこれからの人付き合いとは
・死をどう考え向き合うか
ということについて、1931年生まれの人生の先輩である著者から助言がなされます。


いま現在の高齢者に向けて書かれた本ですが、自分自身のケアや人付き合いの極意のようなものが根本にあり、どの世代が読んでも人生にとってプラスなことばかりでした。

もちろん倫理観や社会通念から言って当然のことも書いてはありますが、君子の言葉や著者自身の人生経験などから具体的なエピソードが例示されているので、とても分かりやすく為になります。


特に私は「死との対峙」を扱った第六章が印象に残りました。
どうしても逃れられない「死」について、先人が様々な捉え方をしていた例や、日本人の宗教観との関わりの話が哲学的で、自分にとっての「死」とは何かを考えさせられたのです。

それから過去の人生の消化の仕方も、そんなうまく行くかは分かりませんが、忘れたくても忘れられない嫌な記憶の消化に試してみようと思いました。


著者のように、ゆったりとおおらかな「老人力」を身に付け幸せな老後を迎えたいものですが、今現在からできることとしては、心身の健康と円滑な人間関係を築けるよう努力するのはもちろんのことです。
それに加え、自分にも必ず「老い」と「死」が訪れることを自覚することも必要だと思いました。