河野通和『考える人は本を読む』(準新刊)
アイディアを出すなら読書すべし!みたいな内容かと思ったら全然違いました。
要するに書評でした。
ただオススメ本を羅列しているのではなく、「言葉」や「仕事」や「家族」など、それぞれのテーマについて考えさせる本25冊が紹介されています。
刊行誌「考える人」のメルマガダイジェスト版だそうです。
- 作者: 河野通和
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/04/10
- メディア: 新書
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私は書評を読むのが好きです。
読んでみたい本に出会えるのはもちろんですが、自分の読んだ本について、他人と感想を言い合える感覚を味わうことができるからです。
未読の本でも読む予定のない本であっても、他人の考えに触れることができます。
さて、この『考える人は本を読む』でも、何冊か読みたい本に出会うことができました。
①モハメド・オマル・アブディン『わが盲想』
②我武者羅応援團『僕らの仕事は応援団。』
(③ほか)
などです。
①は盲目のスーダン人が来日してからのエッセイ(なのかな?)です。
「わが盲想」がヒトラーの『わが闘争』のダジャレになっている通り、独学で日本語を身に付けた彼が、日本人さえ唸ってしまうほどの日本語で親父ギャグを飛ばします。
笑いへ誘いながらも、盲という個性を持った外国人として日本を客観的にとらえる視点を提供してくれる予感がしました。
②は、プロの応援団が依頼を浮け、様々な人を応援していく中で出会ったノンフィクションが綴られているそうです。
タイトルからして笑いを誘うスタンスかと思いきや、、、
悪性リンパ腫を患いながら出産した若い母親の応援や、母子家庭の姉妹が母の日のプレゼントを贈る場面に立ち会った話など、意外にベヴィで書評からもその人間ドラマの熱さが伝わってきました。
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『考える人は本を読む』自体は、正直なところ私には読みやすい部類の本ではありませんでした。
〈〉で括ってあるにも関わらず、本からの引用なのか著者自身の考えなのか分かりづらいです。
またこの25冊を選んだ必然性が私には見えてきません。
しかしそれでも最後まで読ませたのは、それぞれの本のテーマの面白さと、そのテーマに対して著者の深い洞察が滲んでいたからだと思います。
書評を読んでいるだけでも、知らなかった世界を垣間見ることができ、新しいことを知ったり感動させられたりするのが新鮮でした。
たまには書評を通して、他人と「本」について語らった気分になるのも良いものですね。
今週のお題「読書の秋」